校長 三須 吉隆
保護者の皆様におかれましては、本校の教育活動にご理解ご協力を賜り、心より感謝申し上げます。5月に入り、日差しはさらに強く眩しくなり、風は爽やかです。
今週からいよいよ「運動会」に向けての練習と準備が始まりました。子どもたちは、運動会ができることを純粋な気持ちで喜び、心と身体をフル回転させて練習に励んでいます。保護者の皆様も体調管理等、サポートをよろしくお願いいたします。
「和の心」とは相手を思いやる心。何よりもその第一歩は、お互いを認め合い、心を開いて交わすあいさつです。「聖徳は、あいさつに始まり、あいさつに終わる」、聖徳の学校生活を表す言葉の一つです。本年度も、開始早々入学式から「あいさつ、返事を大切にしている聖徳の精神」に響いてくださった1年生の保護者の皆様の姿に感動したことが本当に忘れられません。
あいさつとは、まず「私はあなたに心を開きます」という気持ちを表すことです。「あなたは大切な人なのです」「私はあなたとつながっていて、目の前にいるあなたと私はこの世界で同じ時間を一緒に過ごす大切な関係です」と伝える最良の手段です。お互いが、お互いのおかげで生きていることを自覚し合い、心を開き信頼関係を築いていくかけがえのない一瞬だということです。その意味をしっかり理解してあいさつをすると、より一層素晴らしい結果が生まれるはず、とあらためてあいさつの大切さが心に染み渡ります。
あいさつは周りの人とつながりながらより良く生きていく魔法です。あいさつをすると、自然に心が清々しく気持ちよくなるのがわかります。きっと、安心できるからです。初めて会った人や、その日に初めて顔を合わせた人にあいさつをすると、相手の人も自分自身も、安心することができるのです。さらに、このあいさつをニコニコの笑顔でできたならば「あなたの味方ですよ」「大好きですよ」という意味さえ加わります。そうなると、安心感だけでなく、相手には「認められた」という幸せな気持ちも感じてもらえるかもしれません。人は誰でも、自分の存在を自分で認め、また他の人からも認められたいという気持ちを持っています。何気ないあいさつですが、こんなに豊かな意味が込められているのです。
これからも私たちは、数え切れないほど、たくさんの人と出会うことでしょう。いつでも、自分からあいさつができる人になって、相手の人に安心の気持ちと幸せな気持ちを感じてもらいたいものです。
私たちは、あいさつに始まりあいさつに終わる学校生活をつくりあげ、楽しく過ごせる子どもたち、保護者の皆様、そして私たち教職員でありたいと思います。
さて、「和の心」を体現する教育実践として大切にしている大きな一つが、縦割り班活動・「明和班活動」です。本年度もスタートから、明和班での「全校会食」を実施できております。「1年生を迎える集会」「明和班顔合わせ」を経て、今食堂では1年生から6年生まで、正に全校児童が一堂に会して会食をしております。
先日、私は食堂で6年生の班長さんに「一年間、明和班の下級生のことをよろしくお願いしますね」と声をかけました。どの班長さんからも「頑張ります!」「任せてください!」と実に頼もしい返事が返ってきました。食堂での会食を中心に様々な場面で展開される「明和班活動」が、6年生の班長さんの下級生のことを思いやる心のもとで、更によりよいものになっていく期待感で一杯になりました。
本校の明和班活動は「見えないカリキュラム」として、6年間児童の心の育成に大きな働きをなしています。「見えないカリキュラム」とは、『正規の授業と同様の価値で、日々の学校生活にとけこんだ人間教育プログラム』のことです。
確かに食堂で会食をともにする日々の学校生活は、子どもたちの心にとけこんでいます。毎日全校児童が一堂に会して食をともにするという仕組みの「見えない教育力」は、純粋でやわらかな子どもたちの精神に、意図的・計画的な教育には現れない影響をもたらしていると実感しています。
明和班活動の教育的核心は、その「縦割り班活動」にあります。同年齢集団である学年・学級は発達段階が同質ですから、公平感、平等性を基本として学習活動には最適です。しかし人間の成長には学力ばかりではなく人格の成長も必要であるように、ヨコの関係の活動ばかりではバランスのとれた成長はむずかしいでしょう。
私たちは、明和班活動をヨコの関係を補い合うタテの関係として、これからも本校児童の情操と認識とを健やかに育てていく仕組みとしていつまでも大切にしていきたいと思います。