毎年、参加をしている日本私立小学校連合会の全国教員夏季研修会。昨年度は、残念ながら中止となってしまったが、今年度は、オンライン配信という形式で実施された。テーマは、「私学ならではの小学校教育の展開」。私は、学校劇部会に運営として携わらせていただいた。
今回の講師は、俳優でもありインプロワークス主宰の絹川友梨さん。「オンラインでファシリテーションを学ぶ」~インプロ(即興)の技法を使って~という内容で、約3時間、ノンストップで行われた。この1年、演劇教育のオンラインによるワークショップには、いろいろと参加してきたが、ファシリテーターである講師のスキルも日々進化しており、ZOOMの画面越しでも参加者48名の心はしっかりとつながる研修会だった。
オンラインのワークショップでは、「ブレイクアウトルーム」に分かれ、少人数で活動することがよくある。しかし、今回は、あえて全員が画面上に残り、マイクを切ってペアでミラーエクササイズ(相手の動きを真似る)や、イマジネーションを共有化するエクササイズ(一人がお題を見て、それを相手にジェスチャーのみで伝え、その動作をしてもらう)をした。参加者全員が一斉に動き出すので、周囲を見渡すこともでき、緊張しないで活動に集中することができた。また、ワンワードのワークでは、「ナルシストなハムスター」「気の弱いライオン」などをテーマに、参加者が一言ずつ即興で話を繋いでいくのだが、相手の意見を否定してしまうような、「しかし」や「ところが」というワードを使うと、話が上手く繋がっていかなかった。そのことを体験することにより、相手のアイデアを認め、そこに自分のアイデアを重ね練り上げていく「イエス+アンド」精神の重要性を体感することができた。そして何より、「想像力を働かせ、相手に言葉や気持ちを届ける」そのためには、「相手に関心を持ち、相手をよく見て、相手の話をよく聞くことの重要性」を改めて感じた。また、絹川さんは、キーワードを紹介する際、画面を共有化するのではなく、紙にポイントを書き、カメラに向けていた。流れを止めずにテンポよく進行されるので、集中が途切れることはなかった。絹川さんの言葉で、時に響いたのが「好奇心からしかポジティブな思考は生まれない」「創造性が問題解決能力に繋がる」「アイデアは、頭からではなく環境(相手)から生まれる」である。コロナ禍で活動が制限されている今だからこそ、心のつながりを常に意識して、教育活動を行っていきたいと思った。
1学期の国語の教材「おおきなかぶ」で、即興の劇あそびをしたとき、一人ひとりが好きな登場人物のお面を作成し、なかなか抜けないかぶを「うんとこしょ どっこいしょ」とひっぱるのだけで、大盛り上がりだった。これからも、想像力を働かせながら、子どもたちの心がつながる活動を探求していきたい。