プロスペクト理論とは「「確実に」損するよりも、「確実でなくても」損をのがれる方を選んでしまう心理」のこと。
クラスで飼っているカメの世話をしているとき、うっかり水槽にひびを入れてしまった「けい太」。
正直に言おうかだまっていようか、葛藤しているうちに翌日を迎えます。
そして、耐えきれず先生に伝える場面で物語は終わります。
プロスペクト理論から「けい太」の心理を読み解くと…「ひび」を入れてしまったことをすぐ言っても責められる(確実な損)。ばれなければ責められない(損をのがれる)。それならだまっていよう(確実な損ではなく、確実ではなくても損をのがれる方を選ぼう)。
人は、気が動転していると、ついそのような心理に陥ります。
しかし、「正直」な行動をとったほうが、「確実な得」であることに気づかせよう、というねらいで、今回の授業を展開してみました。
今回使用したのは「綱引きチャート」。
「だまっている」のか「正直に言う」のか、「けい太」の揺れ動く心理を読み解かせます。
意見交換の終盤では「(正直に話して)気が楽になりたかった」という、切実な意見も出されました。
予定では、学習問題を「水そうに「ひび」を入れてしまい、次の日に報告した「ぼく」は、「正直」なのだろうか?」としていましたが、児童の様子を見て「自分ならどうするだろうか?」に変更しました。
時間の関係でプロスペクト理論を紹介することはできませんでしたが、「正直に言った方が楽(=得)」であることには、気づかせることができたようでした。
人間の不合理な判断を説明する行動経済学の理論「プロスペクト理論」。教育の現場では、子どもの成長につながる用い方ができればと思います。