9月19・20日の2日間、授業参観が行われました。図工WS(ワークショップ)で6年生が取り組んだのは、「鑑賞」です。
児童の視線の先にあるのは…
3階までの吹き抜けにある巨大な壁画「生命の樹」(利根山光人・作)です。通常、名作の鑑賞というと、美術館に行ったり、スライドで見せたり、実物大のレプリカを見せたりしますが、本校には実物の芸術作品があるのです。
鑑賞しながら、「注目したところ」「気になったところ」を、思考ツール「マンダラート」にメモします。そして、一番注目したところを選びます。
「注目した点」が同じ子ども同士で、グループをつくります。注目したところが似ている(=認知特性が似ている)グループの方が、対話が弾むのではないかと考えたからです。(上:1組、下:2組)
壁画を前にして、グループごとに「なぜそこに注目したのか」について対話します。
場所を図工室に移して、壁画のコピーに、着目点をメモしていきます。この後、壁画を元にした「物語文」を創作するためです。
グループで対話しながらメモを書き加えていきます。メモが多ければ多いほど、物語文が書きやすくなります。
4段落構成で400字の物語文を書いてもらいます。その構成とは…
起:今、壁画の中で起こっている出来事(現在)
承:なぜそうなったかの経緯(過去①)
転:突然の出来事(過去②)
結:これからどうなるのか(未来)
この構成は、最後まで読んでもらえる文章にするための工夫です。よくある時系列の構成ではなく、冒頭でいきなり物語を展開し、読者の頭の中に「どうしてそうなったんだろう」という疑問を生じさせ、「完読」に導く仕掛けです。
最後に、代表児童による物語の発表を行いました。
今回の授業を振り返った反省点として、次の点が考えられました。
1)子どもたちが取り組みやすいだろうと考えて「物語文」としたが、かえって書けない児童がいた。
2)物語文ではなく、対話を通して見方が変わったことを伝える「感想文」にしてもよかった。
3)「注目した点」別のグループではなく、「気の合う者同士」のグループになってしまったところもあった。
「鑑賞教育」というと、作品の意図や作者についての知識を伝える授業になりがちですが、知識抜きに作品と正面から向き合ってほしいと思い、このような授業展開としました。
この経験を通して、自分の認知特性に気づいたり、見慣れた壁画が、今までと違って見えたりすると嬉しいです。