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2020.07.24
「ピーター・ドイグ展」見てきました [ 長谷川 洋 ]

本物の絵画を、自分の眼で見られることほど贅沢なことはないと思います。


東京メトロ竹橋駅から徒歩3分の、東京国立近代美術館では、特別展開催時に、「先生のための鑑賞日」があります。教員なら無料で鑑賞できる、大変ありがたい企画です。


今回はその「先生のための鑑賞日」に、〝世界でもっとも重要なアーティストのひとり〟といわれる「ピーター・ドイグ」の日本初個展を鑑賞することが叶いました。


作風は「ロマンティックかつミステリアス」という言葉がぴったり。一見のんびりした景色なのに、どこか不穏な空気が漂います。


TVでも紹介されていた2つの作品が並んでいました。


左の作品名は「エコー湖」。警官が湖に向かって何か叫んでいます。


右は「カヌー=湖」。生きているのか死んでいるのか分からない人がぐったりしています。


最初は別々に見ていた両作品ですが、だんだん1つの場面に思えてきました。湖に浮かぶカヌーに向かって叫ぶ警官…。


もしそうだとすると、2人の視点から描かれた絵画といえます。同じ場面を違う視点から描く手法。


話は変わりますが、6年生の新しい国語の教科書(光村)に「帰り道」(森絵都・作)という物語文があります。2人の少年が、学校から一緒に帰る場面を描いた短編です。


同じ帰り道の場面なのに、2人の異なる内面が描かれています。1人目の少年の内面描写から、2人目の少年の内面描写へ切りかわる瞬間が見事。これまでの教科書教材にはない、新鮮な物語文です。2枚の絵を見たときに、異なる視点で同じ場面を描くその「帰り道」が、ふと思い浮かんだのでした。


意識が遠のく中、遠くにパトカーのライトや叫ぶ警官が見える…。

湖面に浮かぶカヌーの中に、人らしきものが見える…。


スティーヴン・キングの小説のような世界が広がるのでした。

※展覧会のチケット購入に関しましては展覧会のWebページをご参照ください。(小・中学生無料)

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