校長 三須吉隆
先日の台風15号による被害は、特に千葉県内で予想をはるかに超えるものとなり、今現在もご不便な生活を余儀なくされている方々が大勢いらっしゃいます。心よりお見舞い申し上げます。
さて、本校でも体育館の窓ガラスの破損や、校地内の多数の樹木の枝が折れるなどの被害がございましたが、その中でも、最も辛く悲しい被害となったのが、「木登りの樹」として子どもたちに親しまれていた「秋楡の樹」が倒れたことでした。臨時休校の翌日、校庭の様子を見て衝撃を受けていた子どもたちの様子は、忘れることができません。実は樹が倒れた翌日、何とか元の姿に戻すことができないか、樹木医の先生に診断をしていただきました。しかし結果は、残念ながら再生は難しいというものでした。その結果を受け、全校朝会で子どもたちに報告をいたしました。
その日から、友だちとともに樹にお礼やお別れを言いに行ったり、学年や学級で、校庭に横たわる「秋楡の樹」の前でお別れ会を開いたり、感謝の歌を贈ったりと、聖徳の子らしい様子が続いています。確かに樹は、次第に本当のお別れの日が迫っている姿になってきています。しかし、命の力強さを感じさせる緑はまだ残っています。元の姿は無理にしても、この樹との思い出を残しておけないかと、「瓶のかたち」「栞のかたち」等を考えています。今、見神美菜先生が中心となり、子どもたちのお手伝いも受け、美しい緑色のままで保存できる様々な手立てに挑戦してくださっています。
皆様もご承知の通り、緑溢れる校庭の自然の豊かさは、本校ならではのものです。その校庭・校地内の450本を超える樹木のなかでも、「秋楡の樹」は象徴ともいえる特別な存在でした。校舎建築、開校準備を進めるなか、本校の創立者 川並弘昭先生は、九州であの樹に出会い、あの姿に惚れ込み、あの姿のままでこの秋山の地に運び、植樹されたというエピソードを、開校当時お聞きしたことがあります。私も「子どもたちが木登りに挑戦したくなるような素敵な姿だ。」と当時から思っていました。
このような形でお別れしなければならない日が来るとは、思ってもいませんでした。あまりにも突然のことです。今回の件を伝え聞いた卒業生からも、「あの樹との思い出は忘れられない。」「たくさん登らせてもらった。当時本当に楽しかった。お世話になったので残念。」などの声が届いています。
校庭のあの場所に、あの姿の「秋楡の樹」は見ることができなくなってしまいますが、思い出は大切に残してまいります。
そして、本日朝、全校で「秋楡の樹とのお別れ会」を実施しましたことをご報告いたします。